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女性はカナダのホームレスシェルターで自身のトラウマを指摘され、世界的権威ジュディス・ハーマンさんの「心的外傷と回復」を手にした。あちこちに線が引かれている=大久保真紀撮影

 「トラウマのある人に適切な対応ができる医療職や支援職が少ない。私は適切な医療になかなかたどりつけなかった」。関東地方に住む40代の女性は自分の体験を振り返ってため息をつく。

 地方の町で生まれた女性は3歳のころから17歳まで、銀行員だった実父に性被害を受けたと語る。

【連載】子どもへの性暴力

性暴力は、被害者の心身に深い傷を刻み込みます。朝日新聞は昨年9月に「子どもへの性暴力」第10部で、治療・ケアについて取り上げました。寄せられた声から、子どもの頃に被害を受けた人たちの体験を紹介し、そこに横たわる問題について考えます。

 父は、風呂上がりにトランク…

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